【必見!】あなたを悩ます思考のクセ。認知のゆがみ10種類徹底解説。
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認知のゆがみとは?
「認知バイアス」や「思考の癖」とも言われる、誇張的で非合理的な思考パターンのことをいいます。
自分の記憶に基づいた色眼鏡をかけて外の世界を見ている状態です。
「事実ではないことを本当だと思い込む」「少しのことをたくさんと思いこむ」「ひとりのことをみんなと思いこむ」などのゆがんだ考え方です。
このようなゆがんだ認知によって、ネガティブな思考や感情が強化されてしまいます。
いわゆる思い込みが激しい人、被害妄想が激しい人は、認知のゆがみがある人だといえます。
HSPと認知のゆがみ
カウンセラー森の見解では、HSP(Highly Sensitive Person)と認知のゆがみはとても関連性が深いと考えています。
それは以下のような理由からです。
- 他者との境界線が薄く、親や周りの大人から影響を受けやすいため、子どものころから言われたことを忠実に守ろうとするあまり思考が極端になりやすい。
(例:お友だちには優しくしようね。→お友だちには自己犠牲をしてでも何が何で優しくしなくてはならない。)
- ものごとを深く考える特性があり、トコトン掘り下げて明確な答えを導きだそうとするため、答えがでないことをそのままにしておけず無理やり結論付けようとする。
- ひといちばい扁桃体のはたきが活発であるため、曖昧なこと、グレーなことなど、不確かな事象に対して不安感を覚えやすく、その不安感から逃れるためにはっきりとした結論を求めようとする。
ものごとは二分化できないものや予測不可能なものだらけで、ほとんどのことがグレーであるにも関わらず、自分の頭の中で極端な意味づけをしてしまうのが認知のゆがみです。
HSPはその特性から、ひといちばい人がゆがみやすいというのが森の見解です。
※HSPだけでなく、発達障害にも同様の傾向が見られるため、単に認知のゆがみがあるというだけでHSPかどうかは判断できません。
(予備知識)怒り内向型と怒り外向型
ここで、認知のゆがみの理解を深めるための予備知識として、カウンセラー森が定義した怒り外向型と怒り内向型の概念についてあらかじめ解説しておきます。
・自虐的でいつでも人に迷惑をかけていないか不安になったり、自分が悪いのではないかと自分を責めたりする傾向がみられる。
・怒りを表現することが苦手。
・怒りだけでなく、ネガティブな感情もできるだけ感じないように自分を制御している。
・批判されないように慎重に振る舞う。
・周りを差し置いて自分だけいい思いをすることに抵抗がある。
■思考癖・口癖:「何か悪いことをしたかもしれない」「自分のせいかもしれない」「すみません」
・他者に対して厳しく、常識やモラルに反する行為は許しがたい。
・「悲しい」「さみしい」などの弱々しい感情を出すことが苦手で、その代わりに怒りを使う。
・攻撃的な反面批判されることには弱く深く傷つく。
・傷ついたことを素直に認めることができず、相手を言い負かそうとしたり、周りを味方につけようとしたりする。人間関係のトラブルが多く、敵も多い。
■思考癖・口癖:「あの人のせいで」「あの人さえいなかったら」「何にもしていないのに」
- 怒り内向型と怒り外向型は一見すると真逆の性質のように見えますが、実は、怒り外向型の人の内側は怒り内向型です。
- 自己肯定感が低い人の怒りは、惨めさ・自己卑下・自己否定という形で自分自身に向かう(内向する)ものですが、そのことが耐えがたい苦痛だと感じると、怒りの向きを反転(内向き→外向き)させ、他者に対しての怒りとなることがあります。
- 自分の心を守るための防衛機制を働かせ、本当は自分自身に向けた怒り(惨めさ、自己卑下、自己否定)を他者に投影することで、攻撃的になるのです。
- 特に、第一養育者(母親)が怒り外向型であるなど、怒りのモデルが身近にいる人の場合は怒り外向型になりやすい傾向があります。
- 怒り外向型の怒りの矛先は一点集中しやすく、怒りを出せる相手(恋人や夫、子どもや部下などの立場が弱い人)に集中砲火する傾向があります。
- 怒り内向型と怒り外向型の区別はあいまいで、普段は怒り内向型の人も相手によって怒り外向型になることがあります。
認知のゆがみ10種類 徹底解説
認知のゆがみの代表的なものは以下の10個です。
この分類は、「うつ病のバイブル」とも言われる、デビット・D・バーンズさんの著書「いやな気分よさようなら」に書かれているものを採用しています。
それぞれの項目について以下で詳しく説明していきます。
1. 全か無か思考
ものごとを極端に考える思考パターン。
「白黒思考」や「ゼロ百思考」とも呼ばれます。
〇か×のみ。△はありません。黒か白かだけ。グレーゾーンはありません。
【場面ごとの例】
- 子育て
あんな風に叱ってしまうなんて、わたしは母親失格だ;;
こんな簡単な問題も解けないなんて、この子の将来は絶望的だ!
- 仕事
こんなミスをするなんて、わたしはもう一生出世できない;;
遅刻するなんて会社にくる意味がない!辞めちまえ!
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メールの返事がそっけない。もう完全に嫌われた!
家族との約束を優先するなんて、あいつは絶対マザコンだ!
この認知のゆがみがあると、客観的に見たら「いくらなんでも極端すぎる」と思うような思考も、本人にとってはしごく当然。
それを自分だけじゃなく他人にも求めるから、周囲は大変です。
この思考パターンの持ち主は、自分や他者に高いハードル(完璧)を求めがちで、そのハードルを越えられないと「ダメなヤツ」「使えないヤツ」という烙印を押してしまいます。
怒り内向型の場合は、自分で決めた高いハードルを越えられない自分自身を必要以上に責めたり、落ち込んだりします。
そして周りの人も自分のことをそんな風に見ているに違いないと思い込みます。
怒り外向型の場合は、「周りはバカばっかり。自分はなんて不幸なんだ」というように、相手が加害者で自分が被害者という構図を勝手に作り出します。
それまで好意を持っていた相手ですら、ひとつ欠点を見つけるとオセロがひっくり返すように、突然すべてが大嫌いになってしまったりします。
この思考パターンの持ち主の口ぐせは、「ぜんぶ」「完全に」「全然」「意味がない」など。
極端にすぎる決めつけをする上、一度自分で下した判定はなかなか覆そうとしないからやっかいです。
【全か無か思考まとめ】
●特徴:極端。自他共に求めるレベルが高く、完璧主義。妥協を許さない。
●口ぐせ :「ぜんぶ」「完全に」「全然」「意味がない」など
2. 一般化のしすぎ
「一部」のできごとを切り取って、あたかもそれが「すべて」であるように思い込む思考パターン。
・ひとり = みんな
・一回 = 毎回
・一部 = 全部
このように捉える極端な認知のことをいいます。
【場面ごとの例】
- 子育て
みんな完母で育てているのに、うちは完ミ。母乳が出ないなんて、わたしはなんてダメな母親なんだ。
(全員が完母なワケない。)
もう三年生なのに、九九を間違えるなんて恥ずかしい!そんな子ほかにいないよ!
(いくらでもいる。)
- 仕事
この前大事なプレゼンでカミカミだった。今日もきっと大事な場面で噛んでしまう。どうしよう。
(うまくいったことも何度もある。)
あの取引先、この前納期に1週間も遅れたからな。担当者を変えたところでどうせ次も遅れるんだろ。ホント信用できない会社だな。
(約束を守れなかったのは前回の担当者が初めて。)
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気になってたあの人を勇気を出して食事に誘ったのに断られた。どーせ男の人はわたしみたいな女と話していてもつまらないんだろう。
(ひとりに断られただけ。)
去年の記念日は仕事だった。今年もどうせ仕事なんでしょ?あなたはわたしのことなんてぜんぜん考えてくれないんだから!
(先月の誕生日はちゃんとお祝いしてくれた。)
この認知のゆがみがあると、好きな人の欠点をひとつ見つけただけで、箸の上げ下げを見るのもイヤなくらい大っ嫌いになったり、会社の一人と険悪になると、同僚全員が敵に思えて会社に行きたくなくなったりします。
怒り内向型の場合は、自分の一度の失敗を引きずって、次のチャレンジができくなります。
緊張する場面で「また失敗するに決まってる」と自分に追い討ちをかけ、その結果失敗すると「やっぱりわたしはダメなんだ」と上塗りを重ねます。
そして、どんどん自信を失っていきます。
怒り外向型の場合は、他者の欠点や失敗にばかり目を奪われて、大切なものを見失いがちです。
たった一人のいじわるのために、親切にしてくれた他の人も全員敵にしてしまったり、たった一度の相手の失態を許せずに、優しかった彼との結婚を諦めてしまったり。
客観的に見たら、「なんで!?もったいない!!」とおもうようなことばかりです。
【一般化のしすぎまとめ】
●特徴:一事が万事思考。100の長所より1の短所を重んじる。
●口ぐせ :「「いつも」「みんな」「一生」など
3. 心のフィルター
この項目に限らず、認知のゆがみ自体が心のフィルター(色眼鏡)と言ってもよいと思うのですが、ここでは特にネガティブなことに注目しすぎて世界が全体がどんよりしてしまうような思考パターンを指して、「心のフィルター」といいます。
このフィルターを通じて世界を見ると、ネガティブなことしか見えないので、自分の周りで起きているポジティブなことには気づきません。
たとえ周りに100人の味方がいても、たったひとりの敵しか目に入らないのです。
つまり、心のフィルターとは、ネガティブな出来事にこだわって、他のポジティブなことはすべて無視してしまう思考パターンです。
【場面ごとの例】
- 子育て
夕飯手抜きだった。ダメな母親だな、わたし。
(仕事、洗濯、掃除、お風呂 などなど、子供のことを考えて毎日一生懸命やっている。)
なんでこんな簡単な問題まちがえたの?ちゃんと勉強したの?
(他の問題は全部あってる。)
- 仕事
またミスしてしまった。わたしには才能が無いんだ。もうやめようかな。
(できることもたくさんあるのに些細なミスで才能が無いと決めつける。)
この会社は本当にブラック企業だな。残業ばかりさせる。
(確かに残業は多いが休みは取りやすい。上司の理解もある。)
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鼻は低いし目は一重。これじゃモテるわけない。彼氏なんてできっこないよな。あーあ、なんでこんな顔に生まれちゃったんだろう。
(料理上手で優しい。オシャレで気が利く。いいところはたくさんある。褒めてくれる人もたくさんいる。)
本当に気が利かないな。こんな人と結婚しても不幸になるだけだ。
(鈍いところはあるが、優しくて家族思い。仕事熱心で温厚。)
この認知のゆがみがあると、いつもネガティブなことに焦点をあてているので、何事も楽しむことができず、どんよりと重苦しい気分で過ごすことになります。
よくよく考えてみたら、今の会社にもいいところはあるのに、不満ばかりを並べ立ててしまう。
よくよく考えてみたら、夫にもいいところはあるのに、欠点ばかりが目に付く。
よくよく考えてみたら、悪いことばかりじゃないのに、ついてないと思ってしまう。
怒り内向型の場合は、自分の短所や苦手なことばかりに注目して、長所や得意なことに目を向けられなくなります。
どんなにいいところがあっても自分を無価値なものと位置づけ、自己否定(ダメだし)ばかりしてしまいます。
怒り外向型の場合は、他者の短所や苦手なことばかりに注目して、長所や得意なことに目を向けられなくなります。
どんなにいいところがあっても相手の価値を見出すことができず、他者否定(ダメだし)ばかりしてしまいます。
潜在意識下で無意識のうちにやっていることなので、悪意があるわけでもなく、フィルターのかかっている世界が真であると本気で信じてしまいます。
こんなフィルターを通じて世界を見ているとしたら、すごくもったいないですね;;
【心のフィルターまとめ】
●特徴:自分や相手のネガティブなところばかりが目に付く。
●口ぐせ :「ひとつも~ない」「ちっとも~ない」など
4. マイナス化思考
この項目は、「3. 心のフィルター」によく似ていますが、心のフィルターがポジティブな面はスルーしてネガティブな側面ばかりに着目するのに対して、 この「マイナス化思考」はポジティブな面をねじ曲げてネガティブに捉えてしまう、という思考のクセを指します。
このゆがみがあると、たとえ褒められたり良いことがあったとしても、「これはお世辞にちがいない」「何か裏があるに違いない」などと、それをわざわざ悪い出来事に変容させてしまうのです。
つまり、マイナス化思考とは、ネガティブな出来事にこだわるだけでは飽き足らず、ポジティブな出来事までもネガティブな出来事にすり替えてしまう思考パターンです。
【場面ごとの例】
- 子育て
近所の人が、自分の子どもを見てひとこと「あらー。小さくてかわいい子ね。」と言った。
ちいさい?発育が遅いって意味かな?離乳食あまり食べないし、わたしの作り方が悪いのかな。
近所の人が、騒いでいる自分の子どもを見てひとこと「いつも元気なお子さんね。」と言った。
あれ絶対イヤミだよな。うるさいならうるさいって言えばいいのに!感じ悪っ!
- 仕事
上司から「新規事業を立ち上げたいんだけど人が足りないんだ。来月からそっちのチームに移ってくれないか?」と言われた。
わたしはこのチームではお荷物なんだな。だから体良く異動させようとしてるんだ。
上司から「今日のプレゼン良かったよ」と言われた。
うそつけ!わたしのやる気を引き出そうとしてるのかもしれないけど、その手には乗らないぞ。どうせわたしのいないところでボロクソに言ってるんだろ?わかってるんだよ。
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パートナーに「たまには実家でのんびりしておいでよ。」と言われた。
わたしなんていない方がいいんだ。
パートナーに「ケーキ買ってきたよ。好きだよね?」と言われた。
あやしい。浮気でもしてるんじゃないの!?
人から言われたことを素直に受け取れず、その言葉に隠された本当の意味を探しに行ってしまいます。
裏があるかどうかもわからないのに、勝手に被害妄想ストーリーを作り上げてその世界に飲まれたりもします。
怒り内向型の場合は、褒められても自分にそんな価値はないと思い込んでいるので、その言葉をお世辞や建前と捉えて、鵜呑みにしないように警戒します。
鵜呑みにしてしまってそれが嘘だとわかったら傷つくと知っているからです。
怒り外向型の場合は、他者は自分を攻撃してくる敵だと捉えているので、常に身構えています。
落とし穴はないか、不意打ちされないか。人前では気を抜かないように、いつもピリピリ厳戒態勢です。
怒りの裏では、他者から傷つけられることを人一倍恐れているのです。
このゆがみを持つと、他者信頼ができず、孤独で苦しいです。
せっかく誰かがかけてくれた優しい言葉も悪意の裏返しではないかとうがった見方しかできないので、他者から見て「なんだか付き合いにくい人」になってしまいます。
褒め言葉に裏があるかどうかなんて、本当のところは言った本人にしかわからないのですから、そこに思いを馳せて嘘だ本当だと考えても無駄なのですが、培った防衛機制で無意識のうちにそう思い込んでしまっているのです。
【マイナス化思考まとめ】
●特徴:相手の言葉を素直にそのまま受け取らず、ポジティブもネガティブにすり替える。
●口ぐせ :「どうせ」「とかいってるけど」「本当は」など
5-a. 心の読みすぎ(結論の飛躍)
これはこじらせ繊細さん(HSP)のお得意技ではないでしょうか?
HSPにデフォルトで備わっている四大特性(DOES)のD「深く処理する」にこの認知のゆがみが加わると、誰からの何気ない一言を深読みしては、疑心暗鬼になってしまったり、言葉だけに留まらず、眉がピクッと動くくらいな些細な表情の変化も見逃さず、相手の感情をあれこれ推察してしまうこと、あるんじゃないでしょうか?
しかもHSPは直感が鋭いので、その読みの精度が高くて、悪い予感が予想的中ってことも多々ありますねー;;
このゆがみ(特性)があると、まず単純に疲れます;
どこに行っても、だれと会っても、相手の一挙手一投足に過剰反応して、あれこれ考えてしまうワケですから、すぐにキャパオーバーになります。
そして、いちいち傷つきます。
別に批判されたわけでも非難されたわけでもないのに、「きっと○○と思われたんだ」と相手の気持ちをネガティブ方面に予想して、ひとりで怒ったり凹んだりします。
つまり、心の読みすぎとは、はっきりとした根拠もないのに、相手の心を深読みして、勝手に傷ついたり怒ったりしてしまう思考パターンです。
【場面ごとの例】
- 子育て
ママ友が「保育園はあきらめて幼稚園に入れようかと思ってるんだ。仕事は小学校に入ってからでもいいかなと思ってさ。」と言ってきた。
え?保育園に入れるのはかわいそうってこと?でもわたしの仕事はそんなに育休長くとれないし、一度辞めて再就職も難しそうだし・・・。
ママ友が「うちの子めっちゃやんちゃでさー。あちこち手を伸ばすから家の中散らかり放題だよ。」と言ってきた。
イヤミ?うちの子まだハイハイしかできないの知ってるくせに。つかまり立ちできるの自慢したいんだな。ムカつく!
- 仕事
同僚から「お前さ、この先どうすんの?転職とか考えてるの?」と言われた。
え?転職なんて考えてなかった。この歳で人生設計できてないのは遅いって言いたいんだよな。たしかにそう思われても仕方ないよな。
同僚から「また来週ニューヨークなんだー。毎月出張続きで疲れるわー」と言われた。
自慢かよ。わたしは、国内出張ばっかりだ。自分はエリートだって言いたいんだろ?ちょっと英語が喋れるからって偉そーに。チッ。
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パートナーに「今日は仕事で疲れちゃったから、帰るわ。また来週ね。」と言われた。
あれ?なんか怒ってる?わたしなんか気に障ることしたかな。どうしよう?メールしようかな?うざいかな?
パートナーに「明日の約束なんだけど、夕方からにしてもらってもいい?」と言われた。
ひどい。またどうせ友だちが優先なんでしょ?わたしなんてどうでもいいと思ってるんだ。最低!
相手が少しでも自分のこと悪く思っていると感じると、すごくムカついたり傷ついたりしてしまいます。
そして、普段は自分に自信が無くて他人軸なクセに、この手のネガティブな勘だけはなぜかやたらと信じ切っていたりします。
怒り内向型の場合は、他者の何気ない言動を自分に対する批判と捉えて、いちいち凹みます。
直接非難をされたわけでもないのに、自分が間違ったことをしたように考え凹みます。
怒り外向型の場合は、他者の何気ない言動を自分に対する批判と捉えて、怒ります。
直接非難をされたわけでもないのに、他者が自分のことを悪く考えていると思いこんでしまうのです。
いずれの場合も、根拠になる出来事(直接の批判や非難)が無いにも関わらず、他者の感情や思考を決めつけてしまうので、「心の読みすぎ」と言います。
そのようなイメージができる理由は、自分が逆の立場であったらそう思うから、もしくはそうしたいからです。
実は、誰より自分で自分のことを責めているので、他者もそうであるに違いないと思い込んでいるのです。
怒り外向型であってもその根底にある気持ちは、自己卑下そして他者に対する恐れなのです。
この認知のゆがみを持つと、いつも周りを警戒していて肩の力が抜けません。
他者の一挙手一投足に目を見張り、自分の弱みを突いてくる人はいないか、攻撃されはしないかと怯えて暮らすことになるのです。
【心の読みすぎ(結論の飛躍)まとめ】
●特徴:はっきりとした根拠もないのに、相手の心を深読みして、
勝手に傷ついたり怒ったりしてしまう。
●口ぐせ :「って思われてる」「って言いたいんだ」など
5-b. 先読みの誤り(結論の飛躍)
「心の読みすぎ」は、他者の心を読むのに対して、「先読みの誤り」は、未来の出来事を読みます。
デビット・バーンズ先生、なぜかこの項目だけなぜか「先読みのし過ぎ」ではなく「誤り」と言い切っちゃってますからね。間違えちゃってるんですw
このゆがみがあると、常に不安と憂鬱な気分が付きまといます。
「○○するにちがいない。」
「○○してしまうだろう。」
まるで自分の人生の専属不幸占い師です。
根拠もないのに先々のことをあれこれ憶測して、物事が悪い方向に向かうと思い込んでしまいます。
つまり、先読みの誤りとは、未来のことを読み間違えて決めつけるという思考パターンです。
別に批判されたわけでも非難されたわけでもないのに、「きっと○○と思われたんだ」と相手の気持ちをネガティブ方面に予想して、ひとりで怒ったり凹んだりします。
【場面ごとの例】
- 子育て
今日もたくさん叱ってしまった。明日もきっと叱ってしまう。こんなわたしが母親では子どもがダメになってしまう。
あの子はいつも宿題をやらずにゲームばかりしている。今日もやらないに違いない。このままでは落ちこぼれになってしまう。
- 仕事
この前のプレゼンでは大失態をしてしまった。今日もまた何かヘマをやらかすにちがいない。このままじゃこの会社でやっていけない。
部長はいつもひいきばかりする。まともに評価をしてもらったためしがない。今回だってどうせひどい評価だろう。あいつがいる限り、いつまでたっても出世できない。
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気になっている人に自分からアプローチをしてもたいていうまくいかないんだよね。どうせ自分が好きになる人とは結婚できないんだろうな。
あいつ、また他の女の人の前でヘラヘラしている。結婚したら将来絶対浮気されるわ!
根拠もないと書きましたが、自分の中ではちゃんと根拠があるのです。
「前もそうだったから」
「いつもそうだから」
という過去の経験などを根拠にしているのです。
だけど、客観的にみると、前回そうだったから次もそうなるとは限らないようなことや、テレビやネットなどで見聞きしたことをひっぱり出して切り貼りしてはそれを根拠と呼び、勝手にネガティブな結論を予測しているに過ぎないんですよね。
怒り内向型の場合は、過去の自分の失敗や過ちをいつまでも覚えていて、反復性の無いことであってもそれが繰り返し起こると決めつけます。
また、テレビやネットで誰かが病気になったり不幸な目に遭っているのを見ると、どうにか共通点を探し出して、同じ不幸が自分の身に襲い掛かるに違いないと思い込んだりします。
怒り外向型の場合は、過去の他者の失敗や過ちを根に持ち、反復性の無いことであってもそれが繰り返し起こると決めつけます。
また、テレビやネットで誰かが病気になったり不幸な目に遭っているのを見ると、どうにか共通点を探し出して、誰かのせいで自分にも同じ不幸がやってくると思い込んだりします。
いずれの場合も、「今日が雨なら明日も雨」というように、客観的に見たらぜんぜん根拠にならないような出来事を、あたかも絶対的な証拠のように思い込み、先に起こる出来事をネガティブな方面に決めつけてしまいます。
【先読みの誤り(結論の飛躍)まとめ】
●特徴:はっきりとした根拠もないのに、未来のこと読み間違えて決めつける。
●口ぐせ :「きっと」「また」「~するに違いない」
6. 拡大解釈と過小評価
「拡大解釈と過小評価」は、その名のとおり、大きく捉えすぎたり小さく捉えすぎたりすることです。
自分のマイナス面と他者のプラス面を大きく。
他者のマイナス面と自分のプラス面を小さく。です。
デビット・バーンズ先生は、このことを「双眼鏡のトリック」とも呼んでいます。
このゆがみがあると、ものごとや人物を本来の大きさではなく、凸レンズを通して見るように拡大したり、逆から凹レンズを覗くように縮小したりして見るようになるからです。
つまり、拡大解釈と過小評価とは、ものごとや人物をありのままの大きさで捉えることができず勝手に拡大&縮小してしまう思考パターンを言います。
【場面ごとの例】
- 子育て
この子は全然にんじんを食べない。栄養失調になったらどうしよう。わたしの料理の仕方が悪いのかな。
(にんじん以外の野菜はちゃんと食べていることには目を向けず、にんじんを食べないことだけに必要以上に着目して、母親としての役目を果たせていないと自分を責める。)
この子は全然にんじんを食べない。栄養失調になったらどうしよう。「野菜を残さず食べなさいって言ってるでしょう!」
(母親としての役目を果たせていないと感じつつ、そのことから目を背けるため食べない子どもを叱る。)
- 仕事
あんなに頑張ったのに今月の目標売上金額に10万届かなかった。わたしには営業なんて向いてないんだ。もうこの仕事辞めようかな。
(990万円も売り上げを上げたことには目を向けず、足りなかったわずか10万円に着目して才能が無いと落ち込む。)
あんなに頑張ったのに今月の目標の売上金額に10万届かなかった。わたしには営業なんて向いてないんだ。「なんでわたしが営業部なんだよ。面接で企画部志望って言ったのに!」
(自分に才能が無いと感じつつ、そのことから目を背けるために他者のせいにする。)
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お気づきかと思いますが、「拡大解釈と過小評価」においては、怒り内向型も怒り外向型も同じように、自分を過小評価したり他者を過大評価したりしているんです。
怒り内向型の場合は、自分が作り上げた大きな他者や小さな自分という虚像を信じ込み、ダメな自分を責めてしまいます。
怒り外向型の場合は、自分が作り上げた大きな他者や小さな自分という虚像に真っ向から向き合うことを避けるため、なんとか責任転嫁をしようとします。他者のせいにして自分が傷つかないようにするという防衛機制が垣間見えます。
いずれの場合も、思い込みの双眼鏡で実際の大きさとはかけ離れた虚像を見ているにも関わらず、あたかもそれを本当の大きさのように思い込み、ネガティブな思考を繰り広げてしまいます。
内向型と外向型、その表現の仕方は真逆でありながら、根底にあるものは同じだということです。
【拡大解釈と過小評価まとめ】
●特徴:ものごとをありのままに捉えず、妄想の中で拡大や縮小し、あたかもそれが本当の姿であるように思いこむ。
●口ぐせ :「ぜんぜん」「ちっとも」「こんな~じゃ」など
7. 感情的決めつけ
「感情的決めつけ」は、自分が感じたことをあたかも事実を裏付ける証拠のように思い込むことです。
ネガティブな感情が前にできてしまい、論理的な思考がそれに圧倒されているような状態です。
この認知のゆがみを自覚することは容易ではありません。
意識して「このゆがみがあるかもしれない」と疑ってかからないと、自分一人ではなかなか気づくことはできません。
なぜなら自分が不快だと感じたこと、それ自体は事実だからです。
【場面ごとの例】
- 子育て
○○ちゃんのママ、今日何となくそっけなかった。他のママたちと楽しそうに話していたし。わたし嫌われているんだな。
「相手がそっけないのは、わたしのことが嫌いだからだ」という決めつけ
まったくあの子は、わたしがいくら声を掛けても返事すらしない。親のことを見下しているんだわ!
「返事をしないのは親をなめているからだ」という決めつけ
- 仕事
○○さんにメールしたけど、まだ返事がない。何か気に障ること書いちゃったかな。まずいな。
「メールの返信がないのは怒っているからだ」という決めつけ
あいつ新入社員の癖になんか偉そうで感じが悪いな。どうせ口ばっかりでロクに仕事もできないんだろう。生意気だな。
「偉そうなやつは口ばかりで仕事ができない」という決めつけ。
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わたしが会いたいと思っているんだから、彼も会いたいはずだよね。それなのに友だちと遊びに行くなんてもうわたしのこと好きじゃないんだろうな。
「自分がさみしいときは相手もさみしい」という決めつけ
「そうでなければ愛が無い」という決めつけ
みんなの前であんなこと言うなんて、ほんとデリカシーの無い人だな。最低男。人間失格。さっさと別れた方がいいわ。
「自分に恥をかかせるような男は人間として価値が無い」という決めつけ
いずれのパターンでも、自分が「不快」や「不安」を感じたということのみが確かな事実であって、それ以外のことは、「不快」や「不安」から生じる思考(予測)だということにお気づきいただけましたでしょうか。
怒り内向型の場合は、相手の言動によって「不快」や「不安」を感じた時に、それを真実だと思い込みます。
さらにはその原因が自分の欠点や失敗によるものだと勝手に解釈し、ネガティブな思いが頭から離れなくなります。
怒り外向型の場合は、相手の言動によって「不快」や「不安」を感じた時に、それを真実だと思い込みます。
さらにはその原因が他者の欠点や失敗によるものだと勝手に解釈し、相手に対して怒りや不満を抱きます。
上記のどの場面でも、直接「嫌い」と言われたわけでもなければ、「怒っている」と言われたわけでもないし、「仕事ができない」かどうか「人間失格」かどうかを、このことだけで決めつけるには少々無理があります。
だけど、感情が先行してしまうこのタイプの人は、自分が感じたことこそが真実だと思い込んでいるのです。
感情が作り上げたことを真実だと思い込み、ネガティブな思考を繰り広げてしまいます。
【感情的決めつけまとめ】
●特徴:自分の感情(不快や不安)を、あたかも事実を裏付ける証拠のように思い込む。
●口ぐせ :「~に決まってる」「~にちがいない」など
8. すべき思考
これはもう本当に厄介で、そしてほとんどのこじらせ繊細さんがハマっている思考の罠です。
「すべき思考」は別名「MUST思考」とも言われ、何か行動をおこすときに、マイルール(自分の中にあるルール)と照らし合わせて、それに沿っているかどうかを確認せずにはいられない思考パターンです。
しかもやっかいなことに、このマイルールは自分にとって絶対的なものなので、他人の言動にもいちいち当てはめて裁いてしまうのです。
【場面ごとの例】
- 子育て
子どもは褒めて育てるべきなのに、いつも大きな声で叱ってしまう。わたしはやっぱりダメな母親だ。
公共の場では静かにさせるべき。子どもがあんなに騒いでいるのに注意もしないなんて、あの親どうかしてる。
ちなみに、かつてのわたしが思い込んでいた子育てのマイルールは、
・母乳で育てるべき。
・栄養バランスの取れた食事をさせるべき。
・7時までには寝かすべき。
・テレビは1時間以上みせてはならない。
・強い口調で叱ってはならない。
・母は常に笑顔でいるべき。
・自分の母親のような子育てをしてはならない。
・寝具はいつも清潔に保つべき。
・部屋はキレイにしておくべき。
・できるだけたくさんの人と触れ合うべき。
・自分より子供を優先させなければならない。 などなど。
- 仕事
もっとちゃんと準備しておくべきだった。あんな簡単な質問にも答えられないなんてわたしってなんてダメなんだ。
あいつはなんでいつも始業時間ギリギリにくるんだ。新人なんだから一番に出社して掃除したり新聞読んだりすべきだろ。たるんでるな
ちなみに、かつてのわたしが思い込んでいた仕事でのマイルールは、
・与えられた仕事は最後まで責任をもってやるべき。
・ミスをしないようにきちんと準備をするべき。
・メールはすぐに返信すべき。
・遅刻をしてはならない。
・今日やれることは明日に延ばさず今日やるべき。
・デスクの上は清潔に保つべき。
・保身のための嘘をついてはならない。
・人よりたくさんの仕事をこなすべき。
・多少の体調不良で休むべきではない。
・上司は部下を正当に評価すべき。
・徹夜してでも納期に間に合わせるべき。
・仕事はプライベートよりも優先しなくてはならない。
・どんなにプライベートでつらいことがあっても仕事に影響を及ぼすべきではない。 などなど。
- 恋愛
女なら料理ぐらいできるべきだよね。こんなに不器用じゃ彼に嫌われちゃう
男ならもっとどっしり構えているべきでしょ。いちいち細かいことで詮索してきて本当にうっとうしい。
ちなみに、かつてのわたしが思い込んでいた男女のマイルールは、
・あちこち気をきかせて彼に尽くすべき。
・女は家庭的であるべき。
・女は料理上手であるべき。
・甘え上手であるべき。
・重い荷物は男が持つべき。
・男は女を守るべき。
・男は仕事をバリバリやるべき。
・男はグチグチ弱音をはくべきではない。
・相手の好みに合わせるべき。
・恋人にはなんでも一番に話すべき。
・嘘をつかずに何でも正直に話すべき。
・恋人より他の人を優先してはならない。 などなど
いかがでしょうか?
みなさんの中にもたくさんの「べき」「ねば」なマイルールがあるのではないでしょうか。
日本はとりわけ道徳心やモラルに重きを置く文化がありますので、小さなころからそれはそれはたくさんの「べき」に囲まれています。
無秩序な社会にならないためには、ある程度のルールが必要なのは明らかですが、「すべき思考」に偏り過ぎると、自分にも他人にも厳しくなりすぎてしまいます。
怒り内向型の場合は、自分に課した厳しいルールを守ることに必死です。
「守れないときもある」「できないときもある」という視点がなく、ルールを守れない自分には価値が無いと感じてしまいます。
ひとつクリアしても自分を認めることなくさらに厳しい課題を課すため、エンドレスに自分を痛めつけてしまいます。
怒り外向型の場合は、自分の決めたルールに則って他者も行動すべきだと考えます。
「自分が決めたルールを相手が守るとは限らない」という視点がなく、マイルールを逸脱する人に対しては、「モラルが無い」「非常識」といった言葉で厳しく糾弾します。
言葉に出さない場合でも、明らかに不機嫌な態度を取って周りと摩擦をおこします。
完璧主義者ともいえるこのゆがみの持ち主は、緊張感が強くリラックスすることが苦手です。
常に失敗する恐怖におびえていたり、相手の失敗や欠点に厳しい目を向けてしまい自他共に苦しくなってしまうでしょう。
【すべき思考まとめ】
●特徴:完璧主義者。自分にも他人にも厳しいく、何事も(自分の中の)ルールに則って行動すべきだと考える。
●口ぐせ :「~するべき」「~してはならない」「普通は~」「常識的に~」など
9. レッテル貼り
「レッテル貼り」の「レッテル」ってなんだかご存知ですか?
語源は「商標(商品につけるタグ)」のオランダ語なんだそうです。
レッテル貼りは、その名のとおり、自分や他者にペタペタとネガティブなタグ付けをしていくことです。
デビット・バーンズ先生は、著書の中でこの「レッテル貼り」のことを「極端な形の『 一般化のしすぎ』である」と述べています。
『一般化のしすぎ』だって十分極端だと思うのですが、それに輪をかけた究極の一般化思考パターンが、この「レッテル貼り」なんですね。
【場面ごとの例】
- 子育て
細かいことをいろいろ言い過ぎだよね。こんなに干渉するわたしは毒母だわ
なんですぐ泣くの!?あんたは本当に泣き虫で弱虫だね。
- 仕事
仕事もできないし体弱くて休みがちだし。わたしなんてお荷物社員だよね。
あの人、来てもなんも役に立たないじゃん。もう定年なんだから来なくていいのに。窓際族は給料泥棒。ホント迷惑だよな。
- 恋愛
彼に寂しいとか言ったら重いと思われるかなぁ。ああ、こんなこと考えてる時点で重い女だよね、わたし
こんなことでキレるなんて、DV男だわ。もう無理!
誰かをネガティブな一言やあだ名で形容して、その型にズボッと当てはめてしまう。
それで密かに「うまいこと言った」みたいな気になるww
アイディアマンなHSS型HSPにありがちかもしれません。
・クレーマー
・ニート
・ゆとり
・モンペ
・一発屋
・痛女
・毒母
・負け組
・うっかり者
・ピエロ
・おかん
・太鼓持ち
・ガサツ女
いや確かに、間違ってないときもあるんですよ。
ちいさなことで何度も何度もクレームをつける人は、「クレーマー」だし、子ども同士の些細なケンカでいちいち学校に乗り込んだら、「モンペ」と言われても仕方ない。
でも、その時たまたまそうだったとか、偶然ミスが続いちゃった、みたいなときにも、いちいちバーーーンとでっかいタグ貼りつけてたら、目の前の人、誰もかれもがタグだらけになっちゃいますよね
怒り内向型の場合は、自分に対してネガティブなタグ付けをします。
愚か者、臆病者、敗者、負け組・・・
「行為や現象=自分」という考え方で、自分で決めた枠に収めようとしてしまいます。
この思考パターンの恐ろしいところは、そんな風に自分を決めつけるうちに、逆にその枠内でしか行動できなくなってきます。
はじめはちょっとしたミスだったのに、自分で愚か者と決めつけることで、本当に愚か者としてしか行動できなくなってしまうのです。
怒り外向型の場合は、他者に対してネガティブなタグ付けをします。
裏切り者、卑怯者、怠け者、頑固者・・・
「行為や現象=他者」という考え方で、自分で決めた枠に他者を収めてその角度からしか見られなくなります。
この思考パターンの恐ろしいところは、そんな風に他者を決めつけるうちに、他者の言動すべてがそのように見えてくることです。
さらに怖いことには、子どもや配偶者など、自分の影響力が及ぶ範囲の人である場合、自分が張ったタグのとおりに、他者がなってしまうということもあるのです。
(バカと言われ続けた子は成績が伸びない、ダメだしされ続けた夫はダメ夫になるなど。)
自分や他者の人格そのものを決めつけてしまう恐ろしい行為、それがレッテル貼りです。
【レッテル貼りまとめ】
●特徴:行為=その人という考え方。ネガティブなイメージを創作しタグ付けする。
●口ぐせ :「○○者」「○○人間」など
10. 個人化
「個人化」は問題の私物化ともいえる極端な思考パターンです。
自分のせいではないことまで、なんでもかんでも「わたしのせい」と思い込むことで、罪の意識に苛まれます。
【場面ごとの例】
- 子育て
この子が内気なのは、わたしが引っ込み思案なせいだ。わたしがもっと積極的ならこの子も人見知りしないはずだ。
自分で「仲間に入れて」って言ってみなよ。いつまでもママがついててあげられるわけじゃないんだよ。
(自分と同じようになったら困るという後ろめたさから、子どもに辛く当たってしまっている。)
- 仕事
部長の機嫌が悪いのは、わたしがまたミスをしたからだろう。居心地悪いしもういっそクビにしてもらおうかな。
部長の機嫌が悪いのは、わたしの営業成績が伸びないからだ。でも仕方ないじゃない。先輩の教え方は適当だし、わたし営業向いてないって前から言ってるんだから。
(成績が伸びないことに罪悪感を感じながらも、それを認めたくないため他者のせいにする。)
- 恋愛
最近LINEの返信遅いな。前はすぐ連絡くれたのに。わたしの話がつまんないから飽きられたんだよね。無理もない。
なんですぐ返信くれないの?嫌になったらなったってはっきり言えばいいじゃん。言い訳ばっかりして優柔不断だよね。ズルい!
(自分が詰まらない女だと感じつつ、逆に相手の欠点を指摘することで曖昧にしている。)
本当に自分のせいでそうなったかどうかわからないようなことまで、なんでもかんでも自分が原因だと思ってしまっていたら、そりゃ苦しくなりますよねー
これも「拡大解釈と過小評価」のケースと同じく、怒り内向型と怒り外向型、どちらも相手の言動の源は自分の過ちや欠点にあると思い込んでおきながら、その表現方法が両極に出ます。
怒り内向型の場合は、相手の言動の原因は自分のミスや欠点にあると思い込み、過度に自分を責めて過ぎてしまいます。
実際には、別のことで怒っていたり、怒っているのではなく痛かったり眠かったりするだけでも、とにかくなんでもかんでも自分のせいだと思って落ち込みます。
「そんなことないよ」という周りのアドバイスは慰めで言っているとしか思えず、素直に受け取ることができません。
一生懸命自分を責めて反省しているのにも関わらず、呆れて周りから人が遠ざかっていくという悲しいサイクルに陥ります。
怒り外向型の場合は、相手の言動の原因は自分のミスや欠点にあると思い込みショックを受けますが、それを素直に受け止めることができません。
他者に怒りを向けることで自分に否があると感じていることを直視しないようにしています。
このタイプの人は、怒りを露わにするため「反省してない」とか「無責任」とか言われてしまいがちですが、実は心の奥底で誰よりもミスや欠点を感じて自分自身を責めているのです。
そのことを他者に知られることは屈辱的なことなので、怒りで武装し自分自身も見ないようにしています。
わたし自身もずっと長いこと怒りで自分の惨めな姿を隠してきたので、自分で自分を責めていることに気付いた時にはかなり衝撃でした。
周りに敵が多くていつも責められていると感じる場合、もしかしてその首謀者はほかならぬ自分自身かもしれないですよ。
【個人化まとめ】
●特徴:ネガティブな出来事が起こったとき、なんでも「わたしのせい」と思ってしまい、罪の意識に苛まれる。
●口ぐせ :「わたしのせいで」「わたしが○○なら」など。
認知のゆがみ=思考のクセ
ここまで認知のゆがみの代表的な10種類について解説してきました。
いかがでしたか?
あてはまるもの、いくつかありましたか?
冒頭でご説明したとおり、繊細さんと認知のゆがみには深い関係があるというのがわたしの見解です。
本来、HSPの敏感さは、他の人には得難い長所です。
敏感さは、美しいものをより美しいと感じ、季節の移り変わりをじっくりと味わい、子どもの純粋さに胸を打たれ、人のやさしさに触れ心が震える。そんな風に人生を楽しむために備わっているギフトなのです。
ところが、幼少期からその特性を理解されず、周囲の人たちに合わせようと無理をしてきてしまったこじらせ繊細さんは、敏感さを長所として活かすどころか、敏感さゆえに「認知のゆがみ」という余計なお荷物を背負い込み、生きづらさを感じているのが現状です。
特に昭和・平成前半生まれの方たちは、敏感さを個性として受け止めてもらうことが難しかった時代に育っていますので、その傾向が顕著です。
現代を生きる多くの繊細さんが生きづらさを感じているのは、単に繊細だからではなく、この「認知のゆがみ」が理由なのです。
また、「認知のゆがみ」はその人独自の「思考のクセ」と言い換えることもでき、どのような歪みをどの程度抱えているかは、人によってまったく異なります。
この記事で出てきた例にあてはまると思う方は、ぜひご自身の認知のゆがみがどのようなものであるかチェックしてみていただけたらと思います。
ご自分の「思考のクセ」を正しく把握し、それをフラットな思考にすることが生きやすさ改善の近道です。
繊細さんお悩み相談室では、こじらせ繊細さんが知らず知らずのうちに身に付けてしまった認知のゆがみを手放し、繊細なままで自分らしく楽しく生きていくためのお手伝いをしています。
「この生きづらさから解放され楽しく生きていきたい!」と思ったら、ぜひ一度会いに来てくださいね!
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