人から指摘されるのが苦手【自己愛性パーソナリティ障害】(NPD)
に続いて、「自己愛性パーソナリティ障害」について解説します。
実は、わたしのクライアントさんの多くは、「境界線パーソナリティ障害」の予備軍か、「自己愛性パーソナリティ障害」の予備軍だと感じています。
「障害」と名がつくには、「本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている」という基準があるため、そこまではいかない方には診断が下りませんが、その傾向を持つ人はとても多いのです。
- 職場の人間関係がうまくいかない
- 理想のパートナーと出会えない
- 友人関係が長続きしない
こんな風に、常時人間関係のお悩みを抱えている方は、なんらかしらのパーソナリティ障害の傾向を持っているかもしれません。
特に他人から否定されたり、見下されたりするのが怖いタイプの人は、一歩間違えばこの「自己愛性パーソナリティ障害」になる可能性は十分にあります。
以前に、「万能感」の記事を書きましたが、あれにあてはまる人が最も気を付けたいのが、今回の「自己愛性パーソナリティ障害」です。
自己愛の強い人ととは、大人になっても万能感を手放せない人たちのことなんです。
自己愛性パーソナリティ障害とは?
自己愛性パーソナリティ障害もわりと有名なので、聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
英語では、Narcissistic Personal Disorder(通称NPD)といい、Narcissiticはナルシストの形容詞です。
精神障害>パーソナリティ障害>B群>自己愛性パーソナリティ障害
という分類になります。
これも日本では精神病ではなく、パーソナリティー障害として捉えられています。
自己愛性パーソナリティ障害の割合には、調査によって大きな幅があるものの、人口の約6%に見られ、女性に比べて男性に多い傾向があるようです。
わたしもこれを書きながら、昔の上司や恋人とかの顔が浮かびましたねぇ( *´艸`)
医学事典「MSDマニュアル」の記載によると、
・自分の重要性および才能についての誇大な,根拠のない感覚(誇大性)
医学事典「MSDマニュアル」- 自己愛性パーソナリティ障害(NPD)
・途方もない業績,影響力,権力,知能,美しさ,または無欠の恋という空想にとらわれている
・自分が特別かつ独特であり,最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている
・無条件に賞賛されたいという欲求
・特権意識
・目標を達成するために他者を利用する
・共感の欠如
・他者への嫉妬および他者が自分を嫉妬していると信じている
・傲慢,横柄
上記の内、5つ以上に該当する場合に自己愛性パーソナリティ障害の診断がつくそうです。
(症状は成人期早期までに始まっている必要がある。)
5つ以上と聞いて、「自分はちがう」とホッとした方も、他人から否定されたり見下されたりすることに怒りや恐怖を抱くような方は、予備軍の可能性があるかもしれません。
深刻化すると、自力での改善は不可能になりますので、症状の軽いうちにご自分のメンタルに向き合っておくことをおすすめします。
自己愛性パーソナリティ障害の特徴
このパーソナリティ障害の最たる特徴は、他人から否定されたり見下されたりすることに怒りや恐怖を抱くことです。
「自己愛」とあるので、自分のことが好きすぎるから横柄になると思われがちですが、実際にはその逆です。
自己肯定感が低すぎる(等身大の自分を愛せていない)がゆえに、自分を過大評価して、過大評価した自分を本当の自分だと思い込もうとしているに過ぎないのです。
この過大評価は無意識下(潜在意識)で行われる心理作用(防衛機制)であり、当の本人には「自己肯定感が低い」という自覚はありません。
自覚がないため、一見すると自信満々で横柄に見られがちです。
自分で自分のこと強いと思ってたりしますので、ちょっと人から指摘をされたりするだけで劣等感が刺激されてどうしようもないほどに落ち込んでしまうことに戸惑っていたりもします。
そして、自己愛性パーソナリティ障害の人は、
「否定されたくない」「見下されたくない」という気持ちが強すぎるゆえ、以下のような言動を取りがちです。
- プライドが高い
- ちょっとした指摘をされると人格全否定されたように落ち込むまたは怒り出す
- 他人から欠点を指摘されるとひどく傷つくまたは怒り出す
- 人から見下されることが怖くて完璧を目指す
- ミスや失敗が発覚することを強く恐れる
- 人から褒められることがとてもうれしい
- 自分は人より優れていると思っている
- 根拠のない自信がありいつか何かになれると思っている
- 他人を自分の都合でコントロールしようとする
- 成績や評価や役職にこだわる
- 内心他人を見下している
- 周りの人はほとんど役立たずだと思っている
- 権威のある人に媚びへつらう
- 人を学歴や社会的なステータスで判断する
- ブランド物などいいものを好んで身に付ける
- SNSの「いいね!」の数に一喜一憂する
こんな風に他人との比較がやめられず、優越感と劣等感の狭間でゆらゆら揺れてます。
考えてみたら、部下を怒鳴り散らしている上司も、SNSでリア充をアピールしてるあの子も、やたらえばり散らしている近所のおばさんも、ブランドもので身を固めてるママ友も、みんなこの架空の「自己愛」の中で生きているんですよね。
自分に自信がなくて怖くて不安で仕方ないから、人と比べて見下すことで安心感を得ようとしているということなんですね。
そう思えたら、苦手なあの人も、ちょっとだけかわいく思えたりしませんか?
(え?しない??笑)
繊細さん×自己愛
ここまでの説明で、自己愛性パーソナリティ障害って、「本当は自分に自信がないくせに偉そうにしている人」という印象を持たれたかもしれませんが、実はそうとは限りません。
わたしのところに来られる「自己愛性パーソナリティ障害予備軍」の方は、繊細さんゆえに周りを見渡すのが得意でして、露骨に人を見下したり、ギトギトのブランド志向の方は案外少ないんです。
それより、
つい他人を見下してしまう自分のことを、「なんて腹黒いんだ」「わたしって性格悪い」と責めていたりします。
アドバイスをもらっても素直に感謝できず落ち込んでしまう自分のことを、「子どもじみてる」「大人気ない」と責めていたりします。
そして、他人を好意的に見られない自分を嫌悪して、ますます自己肯定感はさがり、下がれば下がるほど人からの指摘が怖くて怯えてしまうという負のループにはまってしまうのです。
(お気持ちむっちゃくっちゃわかります!!!)
だけど、そんな人はご安心ください!
そのように自分の問題として考えられる方は、適切なステップを踏めば必ず変わっていけます。
自分がこの予備軍であることを自覚し、否定されたり見下されたりすることを恐れる理由が「自己肯定感の低さ」にあることに気づき、自己肯定感を育てることに取り組んでいけば大丈夫です。
繊細さんお悩み相談室では、そんな方たちのサポートをしていますので、ぜひいらしてくださいね。
あ、念のためお伝えすると、
他人を見下してしまうことを「あいつが無能なせいだ」と思っていたり、他人からアドバイスを受けてひどく落ち込むことを「わたしは悪くないのに」と思っている他責傾向の強い人は、変わるのが難しくめっちゃ時間がかかります。
怒りのコントロールが難しいと感じる場合には、精神科や心療内科の受診をおすすめします。
自己愛性パーソナリティ障害の原因
自己愛性パーソナリティ障害の原因は実はまだよくわかっていません。
でもわたしは、遺伝的な要因だけでなく、幼少期の家庭環境の影響(アダルトチルドレン)が大きいだろうと考えています。
(特にヒーロー・ヒロインタイプのアダルトチルドレンに多いです。)
また、
繊細さん(HSP)はひといちばい環境による影響を受けやすい特性を持っているので、家庭環境次第ではアダルトチルドレンになりやすく、結果、自己愛性パーソナリティ障害を発症する可能性が高いとも考えています。
特に、幼少期において
- 叱られることが多かった
- やたらに褒められまくった
- 過干渉で厳しくしつけられた
- 過保護でちやほや甘やかされた
- 勉強やスポーツの成績で評価されることが多かった
- いいことをしたときだけほめてもらえた
- 成績がいいと親の機嫌が良かった
といったように、自分の存在価値に不安定さがあると、「できない自分」を受け入れられず、大人になってからも「万能感」を手放せずに「否定されたくない」「見下されたくない」という気持ちが強く出てしまいます。
この記事を読んでくださっている方の中にも、診断が下るほどではないけれど、特徴を読んでいて思い当たるフシがあるなと感じている人は多いんじゃないでしょうか。
なにを隠そう、わたし自身もこの症状にはおおいに自覚があって、特に顕著だった30代前半とかは片足プラス指二本くらい突っ込んでいたんじゃないかなと思いますw
(もうどんだけメンタル病んでたんだ!)
毎日職場の同僚の使えなさに嘆き、わたしばっかり苦労するとか思ってましたし、
何もできないくせに根拠のない自信だけはあって、いつか何者かになれるとか思ってましたねー。
そのくせ、人からちょっと注意されるとめっちゃ落ち込んで何日も立ち直れなかったり、
相手のあらを探して「自分のこと棚上げにすんな」とかプンスカしてましたねー。
マジであのころのわたしに言いたい!
それ、自己愛だからね!早く向き合わないとホントにやばいからね!
と。
だけど、当時のわたしは他責傾向全開だったので、きっと聞く耳持ってくれなかっただろうな。笑。
まとめ
今日は自己愛性パーソナリティ障害について書きました。
- 自己愛性パーソナリティ障害は、精神疾患ではなくパーソナリティ障害のくくりである。
- 自己愛性パーソナリティ障害は、他人から否定されたり、見下されたりするのを過度に恐れる。
- 自己愛性パーソナリティ障害は、万能感を手放せないまま大人になった人たちである。
- 「自己愛」と言っても、自分を愛しているわけではなく、その逆で、自己肯定感が低すぎるがゆえに、自分を過大評価して、過大評価した自分を本当の自分だと思い込もうとしているにすぎない。
- 過大評価は無意識下(潜在意識)で行われる心理作用(防衛機制)であり、当の本人には「自己肯定感が低い」という自覚はなく、むしろ横柄であったりする。
- 他人から指摘されることが怖いため、完璧主義で他人との比較が常。
- 他人に対する優越感と劣等感の狭間で行き来している。
- 繊細さんの場合、露骨に人を見下したり、ギトギトのブランド志向の方は少ない。
- 繊細さんの場合、つい他人を見下してしまったり、アドバイスをもらっても素直に感謝できず落ち込んでしまったりする自分のことを、責めていることが多い。
- 自己愛性パーソナリティ障害は、アダルトチルドレンの中でも、ヒーロー・ヒロインタイプの人に多い。
- 繊細さん(HSP)はひといちばい環境による影響を受けやすい特性を持っているので、家庭環境次第ではアダルトチルドレンになりやすく、結果、自己愛性パーソナリティ障害を発症する可能性が高いと考える。
というわけで、今回は「自己愛性パーソナリティ障害」について詳しく説明してみました。
今回もまた、他人事とは思えないこじらせ繊細さんがたくさんいらっしゃることと思います。
もし、日常生活で支障をきたすレベルでお困りの方がいたら、手遅れにならないうちに病院を受診してくださいね。
また、このことを自分事として捉えることができ前向きに向き合ってみたいと思われた方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。
アダルトチルドレンを克服すれば、この問題からの自然と解放されていきますので、ぜひご自分の内側と向き合ってみてください。
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