過去を振り返るのって、ぶっちゃけ意味あるの?トラウマケアのお話
過ぎたことは忘れろ!
過去なんて振り返ったって意味ない!
前だけ見て進め!
そんなフレーズもよく聞くし、ごもっともではあるんですが、わたしはやっぱり過去は一度は振り返っておいた方がいいんじゃないかと思うんです。
わたしのブログを読んでくださっている方は、
「もっと自分のことを好きになれたらな」とか
「もっと自信を持って生きていけたらな」
と感じている方が多いんじゃないかと思います(合ってますか?)。
そんな方が自己肯定感をあげようと、セミナーに通ったり本を読んだりするときに、かなりの高確率で出くわすのが、過去の自分を振り返るワーク。
「自分が幼少期にどんな環境で育ち、どんな思いを抱えていたのか・・・」
でも、つらいのは今の自分。
過去の自分はわりと幸せにやってきたハズ。
おかしくなったのは、社会人になってから(結婚してから、子どもを産んでから)。
だから過去なんてあんまり関係ないんじゃない?
それに親ももう年取ってるし、いまさら責めるのも気の毒。
過去をほじくり返したところで、結局何も変わらないんじゃ?
そんな風に思われた方も多いんじゃないでしょうか?
まぁ、毎度のごとくですが、わたしもそのひとりでw、
「自己肯定感をあげよう」みたいな啓発本を読みながら、過去を振り返る箇所になると「ここは関係ないな」と自己判断してページを飛ばしたりしてました。
でも、いろんなお悩みから解放された今だからわかることは、「そこをすっ飛ばしては先に進めないよ」ということです。
もちろんそれは人によるので、必ずしも全員が振り返る必要はないと思いますが、
少なくとも頭でっかちなこじらせ繊細さんは、一度過去をを覗いておいた方がいいと思うんです。
そこにスポットライトを当てる時間を取ることがなぜ必要なのか、そのことについて今日はお話をしてみたいと思います。
トラウマに気づけない人たち(複雑性・発達性トラウマ)
過去を振り返ろうとしたときに、そうするまでもなく強烈につらい記憶がある方は、そこをピンポイントで癒していくのが得策です。
ちょっと言いずらいのですが、たとえば、
- ひどい暴力を受けた
- 性的虐待を受けた
- 大災害に見舞われた
- 身近な人が急に亡くなった
このような、思い出すだけで辛くなる記憶が鮮明に残っている方です。
単発的かつ大きなできごとは、「単回性トラウマ」になり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する原因にもなります。
PTSDは、精神科や心療内科、トラウマ専門カウンセラーさんなど、たくさんのサポートがありますので、ひとりで悩まずぜひ利用してみていただきたいです。
一方で、
- 過去を振り返ってみてもこれといった強烈なインパクトがあるようなことが思い当たらない
- わりと平穏な幼少期を過ごしてきたはず
- 多少の問題はあったけど、それなりにちゃんと育ててもらった
それなのになんか生きづらい、人間関係がうまくいかない、と思う方は、「複雑性(発達性)トラウマ」の可能性を疑ってみていただきたいのです。
原因が思い当たらない人の中には、あまりにひどい体験をしたため、その体験を心の奥底にしまい込んでしまっているケースもありますが、
ほとんどの方は、小さなことが積もり積もって複雑性(発達性)トラウマになっています。
「単回性トラウマ」は岩石のようなもの。
「複雑性(発達性)トラウマ」は雪だるまのようなもの。
と思っていただけたらわかりやすいかもしれません。
ある日突然ドーーンと落っこちてきた岩石でできてしまったトラウマ(単回性トラウマ)と、
ジワジワと大きくなっていったトラウマ(複雑性トラウマ)のちがいです。
もちろん、前者は前者でものすごくつらくて大変なのですが、
後者の最大の問題点は、「自分も他人もトラウマの存在に気づきにくいこと」です。
周りの人のほんの些細な言動や、取るに足らないような小さな出来事の積み重ねによってつくられていくので、とてもわかりづらいのです。
実際、わたしのところに生きづらさを抱えてこられる多くの方が、ご自分の中にある複雑性(発達性)トラウマの存在に気づいていないです。
わたしと一緒にいろいろ振り返っていただくと、「あ、そうか。そんなことも心の傷になってるんですね」という風に気づいていかれます。
たとえば、
・ひとりぼっちでお留守番してた時の怖い気持ち。
・弟や妹が生まれて、家族の注目がそちらに移ってしまったときのさみしい気持ち。
・お母さんが病気で入院してしまったときの心細い気持ち。
・転校してはじめて教室に入ったときの緊張した気持ち。
・せっかく100点取ったのに、褒めてもらえなかったときのがっかりした気持ち。
大人からしたら、「たいしたことない」と思うようなことでも、子どもだったあなたにとってはダメージになり得ます。
複雑性(発達性)トラウマ。これを読んでいるあなたにもきっと、あるんじゃないかと思います。
※単回性トラウマ・複雑性(発達性)トラウマについてはこちらの過去記事をご参照ください。
【参考】HSPとトラウマ。トラウマには2種類あるってご存知ですか?
自分を責めても自己肯定感は下がるだけ
トラウマの存在に気づいていないということは、つまり自分の生きづらさの原因が過去にあるとは思えていないということで、
その場合多くの人は、
- わたしは何か変なんじゃないか。
- わたしがダメなんじゃないか。
- わたしの心が弱すぎるんじゃないか。
- 大人気なくて恥ずかしい。
- 社会性がなくてみっともない。
といった具合に自分を責めてしまいます。
そして、親思いの優しい人なんかは、
- ちゃんと育ててもらったのに、こんなになっちゃって申し訳ない。
- 他のきょうだいはちゃんとしてるのに、わたしだけ欠陥品で申し訳ない。
なんて、親に申し訳ない気持ちまで抱いちゃってたりします。
その思考こそが、負のループに陥る最大の理由です。
自分を責め続けても、親に申し訳なく思っても、何も変わっていきません。
それどころか、自分を責めた分だけ自己肯定感はさがっていき、理想の自分とはどんどんかけ離れていってしまいます。
そんなときに役に立つのが、生きづらさの原因が過去にあると知ることです。
原因を知ったところで
と。過去を振り返ることの意味についてお話をすると、おそらくは、
「でも、過去に原因があるとわかったって、過去は変えられないでしょ?」とおっしゃると思います。
確かに「過去に起きた出来事」は変えられません。
だけど、「過去に起きた出来事への認知」を変えることで、自分責めをやめることはできます。
「たいしたことじゃない」と思い込んでいたことが、幼い自分にとっては「たいしたことだった」と気づいてあげることは、自分の過去を正しく理解し直すことです。
過去を振り返ることで、「自分がこうなるのは必然的なことだったんだ」と気づくことができ、そこではじめて、こじらせてしまった自分への許しが訪れ、前を向くことができるのです。
ここの理解が浅いまま、自分を許そうとか自己肯定感をアップさせようとかしても、そう簡単には自己否定の沼から這い上がれないと思います。
だから、わたしは過去を振り返ることが大切だと考えています。
正確にわからなくてもいい
わたしの講座(28日間マンツーマン講座)では、過去を振り返る時間を取っています。
その時間に一部の方は、「それが事実かわからない」「自分の思い込みかもしれない」とおっしゃいます。
それは、それでいいんです。
なぜなら、今あなたが生きづらいことは事実であり、その原因は過去にあるからです。
それがたとえ思い込みだったり勘違いだったとしても、あなたが「そう感じた」ということは事実だからです。
過去の振り返りは、実際に何が起きていたのか探偵のように正確に事実を突き止めることに意味があるわけではなく、
あのとき誰にもわかってもらえずにしまい込んでしまった、幼い頃の自分の気持ちに気づいて心を寄せることが癒しになるからで、
そして、今のあなたがこじらせているのは、決してあなたが悪いわけではなく、過去の心の傷を引きずっていたからなんだと気づくことで、自分に優しくなれるからです。
まとめ
こじらせ繊細さんにとって、過去を振り返ることが大事だってこと、ご理解いただけましたでしょうか?
今日のまとめです。
- トラウマには、単回性トラウマと複雑性トラウマ(発達性トラウマ)がある。
- 複雑性トラウマ(発達性トラウマ)は自覚することが難しい。
- 複雑性トラウマの(発達性トラウマ)存在に気づけないと、自分の生きづらさの原因が過去にあるとは思えないため、「我慢が足りない」などと自分責めをする。
- 自分責めをすると自己肯定感は下がる一方で、生きづらさは解消しない。
- 過去の自分のへの理解が浅いまま、自己肯定感をアップさせようとしても、自己否定の沼から這い上がれない。
- これまで「たいしたことじゃない」と思い込んでいたことが、幼い自分にとっては「たいしたことだった」と気づくことで、自分責めをやめられる。
- 大切なのは、幼い自分の気持ちに気づくことであって、事実を正確に突き止めることではない。
結論!!
過去を振り返るのって意味あるの?
→ある!!
なんで振り返る意味があるの?
→振り返り幼い自分の気持ちに気づくことで、自分に優しくなれるから!
ついつい自分に辛らつな言葉を浴びせてしまうこじらせ繊細さんだからこそ、過去の振り返をして自分に優しくなることが大事だと考えているのです。
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