サイコパスってどんな人?【反社会性パーソナリティ障害】(ASPD)
「サイコパス」という言葉が世に浸透し始めたのは、いつ頃でしょうか?
気づけば、「あの人サイコパスだよね」とか「サイコパスみたいなこと言わないでよ」とか、日常の中でも普通に通用する言葉になっていますね。
みなさんのサイコパスのイメージってどんなものでしょう?
サイコパスの世間的なイメージ
- 冷淡な人
- 感情の抑揚がない人
- 猟奇的な人
そんなイメージがありますか?
サイコパスと言えば、サ〇エさんの堀〇くんが有名ですが、なぜサイコパス認定されているかというと、
- 田舎のおばあちゃんから譲り受けたひよこに「わかめ」と命名して、卵を産んだらワカメちゃんに食べてもらうと発言した。
- ひとりっこにも関わらず、弟のへいきちとキャッチボールをしたという作文を披露。実はへいきちとは壁のことだった。
- 将来の夢は牧師さん、理由はキレイな花嫁さんを毎日見られるから。
こんなことが理由みたいです。
それから、わたしのクライアントさんでもたまに、
「うちの夫はぜんぜん人の気持ちがわからないんです。サイコパスかもしれません。」
「わたし自分の感情がよくわらかないんですが、もしかしてサイコパスの可能性ありますか?」
なんて、自分やパートナーの方をサイコパスではないかと疑っていらっしゃる方もいます。
どうやらちまたでは、
人の気持ちがわからない人=サイコパス
感情を感じられない人=サイコパス
という認識が定着しているみたいですが、果たして本当にそうなんでしょうか?
サイコパスとは?
精神医学において、サイコパスは、「精神障害」の中の「パーソナリティ障害」の中の「反社会性パーソナリティ障害」に分類されます。
- 精神障害>パーソナリティ障害>B群>反社会性パーソナリティ障害>サイコパス
(反社会性パーソナリティには、サイコパスの他にソシオパスも含まれます。後述。)
日本では精神病ではなく、パーソナリティー障害として捉えられているのが特徴です。
反社会性パーソナリティ障害(ソシオパス含む)の割合は、アメリカの調査で約0.2~3.3%、男女比は6:1で男性に多く、強い遺伝要素があるとされています。
一般的にはマイルドサイコパス(後述)を含め、100人に1人がこの反社会性パーソナリティ障害を持っていると言われています。
ということは、1学年100人の学校で、少なくとも学年にひとり。下手すればクラスにひとりこの特性を持っている人がいるということで、割と身近な存在ですよね。
医学事典「MSDマニュアル」には、
反社会性パーソナリティ障害患者は,個人的利益や快楽のために違法行為,欺瞞行為,搾取的行為,無謀な行為を行い,良心の呵責を感じない;患者は以下のことを行うことがある:
・自分の行動を正当化または合理化する(例,敗者は負けるべくして負けたと考える,自分自身の利益を追及する)
MSDマニュアル - 反社会性パーソナリティ障害
・被害者を馬鹿だったまたは無力だったと責める
・自分の行動が他者に及ぼす搾取的で有害な影響に関心を示さない
と記載があります。
また、サイコパシー・チェックリスト(PCL-R)を開発したカナダの犯罪心理学者ロバート・D・ヘア氏によると、、
- 良心が異常に欠如している
- 他者に冷淡で共感しない
- 慢性的に平然と嘘をつく
- 行動に対する責任が全く取れない
- 罪悪感が皆無
- 自尊心が過大で自己中心的
- 口が達者で表面は魅力的
と定義されています。
これに加えて、
- 共感力の欠如
- 罪悪感の欠如
- 恐怖、不安を感じにくい
- 心拍数が上がりにくい
- 攻撃性が高い
- 自制心が低い
- 刺激を追い求める
これらがサイコパスの特徴としてよくあげられます。
簡単に言ってしまうと、「自分の利益や快楽のためであれば、他者を傷つけても意に介さず、冷酷で残忍な人。」
そんな人がサイコパスだと言えるでしょう。
あなたの周りにもこんな人、いませんか?
サイコパスとソシオパス
サイコパスとよく混同されるのがソシオパスです。
サイコパスとソシオパスは、同じパーソナリティ障害の反社会性パーソナリティ障害に分類されますので、同じような反社会的性質を持っていると考えていただいて大丈夫ですが、
サイコパスが先天的な気質で生涯変わらないのに対し、ソシオパスは後天的な要因(家庭環境等)で反社会的な特徴を身に付けたというところが大きく異なります。
以前に、エンパスとサイコパスとソシオパスのちがいについて記事を書いたことあありますので、気になる方はそちらもチェックしてみていただけたら。
アレキシサイミアとのちがい
また、サイコパスと誤解されやすいのが「アレキシサイミア(失感情症)」です。
無表情で感情の抑揚が少なくなっていたりするので、サイコパス(ソシオパス)と誤解されることがあります。
アレキシサイミアは、
感情症(アレキシサイミア)はシフネオスが提唱した性格特性です。
自分の感情(情動)への気づきや、その感情の言語化の障害、また内省の乏しさといった点に特徴があると言われています。
心身症の発症の仕組みの説明に用いられる概念ですが、近年は衝動性や共感能力の欠如など、ストレス対処や対人関係を巡る問題との関連が研究されています。
引用元:厚生労働省e-ヘルスネット - 失感情症(アレキシサイミア)
ポイントとしては、
>自分の感情(情動)への気づきや、その感情の言語化の障害、また内省の乏しさ
というところで、別に感情がないと言っているわけではないのです。
感情はあるけれど、認知したり、表現したりすることが苦手で、想像力や空想力などに乏しくなってしまっている状態です。
つまり、感情はそこにあるけれど、出し入れがうまくいってない状態がアレキシサイミアなので、サイコパスとはちがうということです。
ただし、幼少期に感情を抑圧せざるを得なかった状態が続き、アレキシサイミアを経て後天的な反社会性を身に付けることになる(ソシオパスになる)ということは十分あり得ると思います。
わたしのカウンセリングや講座でも、「感情を感じることの大切さ」についてたびたび触れています。
「人間は感情の生き物である」と言われるとおり、人間らしく生きるには感情をきちん感じるということがとても重要なんです。
サイコパスと発達障害のちがい
サイコパスと発達障害の関連性については諸説あり、わたしのような民間カウンセラーが安易に言及することは難しい内容ですが、はっきりと申し上げられることは、
発達障害=サイコパス
というのは、まったく間違った認識だということです。
まず、サイコパスと最も混同されやすいのが、知能や言語の遅れがない自閉症スペクトラム症(旧称アスペルガー症候群)ではないかと思います。
アスペルガーも先天的で、共感力が低いという特性がサイコパスと共通しているからです。
パートナーの共感力の無さにサイコパスを疑っている方の多くは、パートナーがアスペルガー傾向をお持ちだったりします。(傾向があるだけで発達障害であるとは限りません。)
ちがいとしては、サイコパスは、不安や恐怖を感じにくいのに対し、アスペルガーはむしろ不安や恐怖を感じやすい傾向が見られることがあげられるのではないでしょうか。
ただし、アスペルガーの中には、「感覚過敏」の逆の、「感覚鈍麻」である人もおり、感覚刺激に対する反応だけでは区別がつきづらいこともあります。
また、アスペルガーがサイコパスやソシオパスにならないというわけではありません。アスペルガーと診断されたからサイコパスではないと断定できるわけではないのです。
また、ADHD(注意欠如・他動症)については、思いついたことをよく考えずに即座に行動に移してしまう「衝動性」を持っているため、とっさに行動を起こしてしまいがちで、それが周りの人に対して猟奇的に映ってしまうことはあるかもしれませんが、直接犯罪行為などに結び付くわけでもありません。
ただしこちらも併発する可能性はあり、ADHDが反社会性パーソナリティ障害を持つと、衝動性が後押しして問題が表面化しやすいということは考えられます。
いずれにしても、発達障害とパーソナリティ障害の尺度は別物です。
このリンゴは、赤いですか?それともまるいですか?
という質問がナンセンスなのと同じように、この人は発達障害なのかサイコパスなのかと判断しようとするのは意味のないことなんです。
自分にどんな特性があるのかわからないときは、専門機関にご相談されるのが一番です。
マイルドサイコパス
もうひとつ知っておきたいことが、「マイルドサイコパス」の存在です。
マイルドサイコパスは、名前からも想像がつくと思いますが、サイコパス的な脳のつくりを持ちながら反社会性が低く、攻撃性が犯罪にならない程度、法に触れない程度で、大きな逸脱や問題行動に出ることはない人のことです。
犯罪にならないギリギリラインで攻撃してくるので、ひとことで言ってしまえば「非常にたちの悪い人」です。
マイルドサイコパスは、「成功したサイコパス」とも言われ、単に犯罪を起こさず社会に適合しているだけでなく、社会的な成功者である場合も多いのです。
マイルドサイコパスの特徴として、Wikipediaには以下のような記述があります。
・マイルド・サイコパスであっても、ほぼ間違いなく何らかのハラスメント行為に及ぶと言われている。
・マイルド・サイコパスの上司がいる会社の場合「部下の離職率、精神疾患の発症、モチベーションの低下」などが際立っていることも報告されており、会社によっては、その社会的損失が莫大ともなり得る[22]。
Wikipedia – 精神病質
マイルドサイコパスの場合、露骨に目立つようなハラスメントには手を染めず、どちらかというと人員配置のマネジメントが極端に冷酷であったり、「セカンドハラスメント」と呼ばれる間接的なハラスメントで、精神的なダメージを与えてくることが多いと思います。
こんな人が身近にいたらたまったもんじゃないですよね。
特に共感性の高い繊細さんは、サイコパスの餌食になりやすいです。
面倒見がいい、人の気持ちを慮る、人を涙に弱い。
サイコパスはこんな優しさを見せる人の心の隙間に容赦なく漬け込んできて、メンタルをむしばんでいきますので、見つけたら、ロックオンされる前に、背中を見せずにササっと遠ざかるようにしてくださいね。
まとめ
今日のまとめです。
- サイコパスは、精神医学において「反社会性パーソナリティ障害」に分類される。精神疾患ではなくパーソナリティ障害のくくりである。
- サイコパスは、自分の利益や快楽のためであれば、他者を傷つけても意に介さず、冷酷で残忍な人。
- サイコパスとソシオパスはどちらも、反社会性パーソナリティ障害に属し、サイコパスは先天的、ソシオパスは後天的に反社会性を持つ人。
- アレキシサイミアは、「感情はそこにあるけれど、出し入れがうまくいってない状態」の人。サイコパスとは異なる。
- サイコパスと発達障害の区別については諸説あり。アスペルガー症候群やADHDがサイコパスと混同されやすいが、発達障害とパーソナリティ障害の分類はまったく別の尺度でありひとまとめにすることはできない。
- 反社会性を持たないマイルドサイコパスの存在に要注意。特に繊細さんはターゲットにされやすいので、ロックオンされる前に逃げよう。
というわけで、今回は「サイコパス」について詳しく説明してみました。
サイコパスのターゲットにならないようにくれぐれも気を付けましょう。
特に身近に潜むマイルドサイコパスには要注意です。
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