他人は変えられないってホントなの?あなたが見てる他人はあなたが作った他人
「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」
この言葉は、カナダの精神科医エリック・バーン氏が遺した有名な言葉です。
自己啓発の本とかにもよく書いてあるので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
意味は読んだままで、「周りの人を自分の都合で変えようとすることや、起きてしまったことをなかったことにするのは不可能。それよりも自分の意識を変えてこれからの未来を創っていこう。」ってことですね。
わたしもそのとおりだと思います。
でも、他人と過去を変える方法って、本当にないのでしょうか?
今日はまず、「他人を変える」ことについてお話してみたいと思います。
力ずくでコントロールしようとすること
他人を変えようとするときに、多くの人が手っ取り早く持ち出すのは、他者を力でコントロールすることだと思います。
たとえば、怠惰な部下を叱責する、理解の足りない夫にブチ切れる、勉強しない子どもからゲームを取り上げる。
こういうのはぜんぶコントロールで、力づくで相手に変わることを要求するもの。場合によっちゃハラスメントとも言えます。
コントロールを仕掛けられた相手は、恐れや面倒くささから渋々従う可能性はあっても、心から改心するわけではありません。
だから、何度でも同じようなことを繰り返したり、怒られないように隠れてコソコソやるようになったりするんです。
つまり、力ずくのコントロールでは、表面上は他人を変えられるかもしれないけれど、本質的には変えられないんです。
それどころか、コントロールする側は表面的に取り繕う人のことが許せず怒りを強めて、コントロールされる側は相手への信頼感がどんどん消え失せて、かえって関係性が悪化するのが関の山です。
褒めてコントロールしようとすること
そして、力ずくのコントロールが無理だと気づいた人が次にやりがちなのが、褒めてコントロールする作戦。
「ほめる」というより「おだてる」に近いかもしれませんね。
- よく契約を取り付けてくれた。次もこの調子でがんばってくれたまえ。
- ホントあなたって頼りになるわね。また次もお願いね。
- すごいじゃない!次も100点取れるようにがんばってよ!
みたいな感じで、成果に対して褒めることで次もさらに努力してもらおうとするコントロールです。
これは短期的にみたら相手を変えることに成功したように思えたりもするのですが、実際には相手を変えたのではなく、相手を手なずけただけに過ぎません。
心理学者のアドラーは、
「褒めることは相手の自律心を阻害し、褒められることに依存する人間を作り出してしまう」
と言ってて、安易にほめることに警鐘を鳴らしています。
誰かにほめてもらうことがモチベーションになってしまうと、本質的に変わろうと努力するのではなく、人に認められるために演技をするようになってしまうんですよね。
そして、ほめられなくなると途端にやる気をなくしたり、機嫌を損ねたりしてしまうようになります。
これでは本質的に変わったことにはならないですよね。
なので、叱ったりほめたりして人をコントロールする賞罰方式では、他人を変えることはできないのです。
特に子育て中の方は、この「ほめて育てる」をやりがちなので注意が必要です。
変わる気のない人を変えることはできない
相手を褒めても叱っても変えられない。
いやむしろ、賞罰によるコントロールは改悪にしかならないってことお分かりいただけましたでしょうか?
これはあなたに力がないとか、コントロール方法が間違ってるとかではなく、
そもそも人間って、変わる気のない他者を変えられるほど立派にできてはいないんです。
それはこの仕事をしていて痛切に感じます。
わたしは28日間マンツーマン講座というのをやっておりまして、その名のとおり28日間マンツーマンで繊細さんが生きづらさを解消するためのサポートをしているんです。
お申込み時にも講座の初日にも、「ここでぜったいに変わるという覚悟がありますか?」と青臭いことをお伺いするのですが、ここで迷わず「はい!」と答えられない方は、まず変わることができません。
You may lead a horse to the water, but you can’t make him drink.
(馬を水辺に連れていくことはできても、馬に水を飲ませることはできない)
ということわざがあるのですが、まさにそのとおりで。
ご本人がその気になってくださらない限り、わたしひとりがどんなにがんばっても、その方を変えることはできないんですよ。
それって、お医者さんや先生もきっと同じで。
いくら腕のいいお医者さんがいても、治療を受ける気がなくて病院に来ない人の病気は治せないし、
いくらカリスマ講師がいても、塾に来る気も勉強する気もない子を名門校に合格させることってできないんです。
つまり、部下やパートナーや子どもが「本気で変わろう!」と思わない限り、(どんなに権力があろうが能力があろうが、)周りの人の力だけでその人を本質的に変えることは不可能だということです。
他者を変える唯一の方法
他者をコントロールせずに変える、唯一の方法は、「他者に対する自分の認知を変えること」です。
認知というのは、その人固有のものごとの捉え方で、100人いたら100通りの認知があります。
たとえば、同じ風景の写真を見ても、
山並み、雲の形、遠くの教会、手前の時計台、どこに着目するかは人それぞれですし、色彩の捉え方なども細かく見ていくと、同じ写真なのにまったく同じように見えている人はいないんです。
また、同じ人を見ても、ある人にとっては「お節介でうるさい人」であっても、別の人にとっては「面倒見のいい明るい人」だったりします。
どんな人も短所100%の人っていなくて、割合はともかく長所と短所両方備えているハズで、スポットをあてる部分や角度を変えると、その人に対する認知はまったくちがったものになるんです。
つまり、相手に直接的にアプローチして変えるのではなく、自分の相手に対する見方を変えるということです。
認知を変えるためにはそれなりのトレーニングが必要ですが、まずは気づくことからはじめてみるのがおすすめです。
相手に対してネガティブな感情を抱くとき、「自分が今その人のネガティブな面に着目している」ということに気づくことです。
注意していただきたいのは、急に大きく認知を変えようとしないことです。
嫌いな人やダメだと思っている人をいきなり好意的にみられるようになる必要はなくて、まずは「わたしにはネガティブなところが見えているけれど、これがこの人のすべてではないんだよな」ということに意識を向けるだけでOKです。
何度も何度も繰り返し気づくことで、ちょっとずつフィルターが外れていきます。
即効性がないし、相手に直接働きかけができないから、「そんなことやって意味あんの?」って思うかもしれません。
中には、「あいつが悪いのになんでわたしが認知を変えなきゃいけないの!?」って思うかもしれません。(わたしはこれめっちゃ思ってましたw)
でも、いろいろ試してみたけど、結局これが一番楽だし、結果が出やすいし、ハレーションがありません。
争ってたって消耗するだけです。
実際、わたしはすでにこれで何人もの人を変えてきました。
自分が相手を見るときにかけている色眼鏡(フィルター・認知)を外すことで、鬱陶しい人はたいして気にならない人になったし、家族や友人との関係もめっちゃ穏やかになりました。
あなたが見ている他人はあなたが作った他人であって、そのひとそのものではないんです。
自分の見方が変わると、だんだんと現実にも変化が起こり、自然とその人自身も変化していきます。(ホントです!)
それはわたしたちが潜在意識(無意識)のさらに下にある「集合的無意識」でお互いが繋がっているからなんですね。
自分のことを好意的に見てくれる人に対して、迷惑をかけ続けたいとは思わないですもの。
そうやって自然と言動が改善されていくものです。
アイメッセージで働きかける
そして、おまけ。
自分が被害を受けたり傷ついていしまうから、どうしてもいち早く相手に対応を変えてもらいたいときのアプローチ方法。
本質的な変化には至らないかもしれませんが、動機づけにはなるかもしれません。
それは、アイメッセージでの働きかけです。
アイメッセージというのは、心理学者トマス・ゴードンが提唱したコミュニケーションメソッドで、「I(アイ・わたし)」が主語のメッセージで相手に伝えるやり方です。
- (わたしは、)期日までに提出してもらわないと困るので、お願いできる?
- (わたしは、)話を聞いてもらえるとうれしいんだけど、時間ある?
- (わたしは、)一緒に片づけてもらえると助かるんだけど、協力してもらえる?
「あなたが間違っているから」とか「あなたのためを思って」とか、「You(あなた)」を主語にをコントロールするのではなく、あくまで困っているのはわたしで、「困っているわたしのために協力をお願いできないか」という依頼形で働きかける方法です。
依頼形なので、断る権利は相手にあるんですが、人間って強制されるより選択肢のボールを渡された方が相手にとって好意的な行動を取りやすいものです。
でもこれはあくまで相手をコントロールする意図ではなく、お願いする立場であることをお忘れなく。
そうしないと、口調は丁寧でも相手はコントロールしようとしていることを敏感に感じ取りますので逆効果です。
まとめ
今日は、「他人を変えることはできないのか」ということについて考えてみました。
- 他人を力づくでコントロールしようとすること、ほめてコントロールしようとすること。賞罰方式のコントロールで他人を本質的に変えることはできない。
- 「馬を水辺に連れていくことはできても、馬に水を飲ませることはできない」。つまり変わる気のない人を変えることは不可能。
- 他者をコントロールせずに変える、唯一の方法は、他者に対する自分の認知を変えること。
- 認知を変えるには、トレーニングが必要。まずは、「自分が今その人のネガティブな面に着目している」ということに気づくことから。
- 無理やり好意的に捉えようとする必要はない。「わたしにはネガティブなところが見えているけれど、これがこの人のすべてではないんだよな」ということに意識を向け続けることが大切。
- 人間は、集合的無意識で繋がっているため、好意的に見てくれる人に対しては、好意的な振る舞いをするようになる。つまり自分の相手に対する見方が変わるにつれ、相手も自然と変わってくる。
- 相手に対応を変えてもらいたいときのアプローチ方法としてはアイメッセージがおすすめ。
わたし(I・アイ)が主語プラス依頼形で相手に頼む方法。「わたしは〇〇なんだけど、〇〇してもらえる?」という形で相手に伝える。このとき断る権利は相手にあり、コントロールはできない。
- 人間は、強制されるより選択肢のボールを渡された方が相手にとって好意的な行動を取りやすいもの。
結論。
直接的に他人を変えることはできないが、自分の意識を変えることで他人への認知を変えることはできる。
どうにもならない相手を無理やり変えようとするより、自分の意識を変えることの方がうんと楽ですし、効果も出やすいです。
そして、自分の認知が変われば、集合的無意識で繋がっている相手にも伝わり、関係性は自然と変化していくものです。
相手を変えようと躍起になるのではなく、まずは自分の相手に対する意識を変えることが何より大切ですというお話でした。
こじらせ繊細さんのための28日間マンツーマン講座では、あなたの認知を変えるためのサポートをします。
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